モノづくり組織における、デザイナーの3つの資質


昨日の深夜、たまたまNetflixで目に止まった、

映画「スティーブ・ジョブズ」を観ました。(すみません。古い方です。。)

2013年の公開当時はなぜか敬遠してしまい、

そのまま見ずにいたんですが、Netflixで見つけたので観ることに。


映画自体はジョブズを中心に、

いかにしてAppleが誕生したのかや、

周囲の人との関係性を軸に、

Appleが爆発的な成長を遂げる、ほんの少し手前までが描かれています。


映画の中で、

Apple復帰後のジョブズの切り札である、

ジョナサン・アイヴと出会うシーンにシビれ、

この映画が醸し出す、モノづくりに対する姿勢の描写にまんまと感化されてしまったので、

モノづくりにおける、サービスデザイナーに必要な3つの資質として残しておこうと思います。


※深夜の記憶を元に書き起こしているので、一部引用が正しく無いところもあるかと思いますがご了承ください。


■競合がいるなら違うものを作れ


ジョブズの代表作でもある「Macintosh」。

当時、世の中には数多くのコンピューターが開発され、

どうしたら競合であるIBMと戦うことができるのか。


そんな時、映画の中でジョブズが目をつけたのが、フォントでした。


フォントという、当時の周囲からすれば無駄な機能のために、

当時の限られた技術的制約を糧に、言い訳をするエンジニアに対して

ジョブズは激昂します。


ユーザーとコンピューターのハブになるために、
画面上で一番メインであるはずのテキストのフォントが、なぜ1種類しかないんだ?


これは、

「売れ筋の製品」をサル真似で作るのではなく、

「ユーザーが満足して、結果的に売れる製品」を作るという

根本的なユーザーニーズを見事に捉えていたからだと思いました。


競合と同じ土俵で戦うのではなく、

独自のイノベーションを起こすことを意味していますが、

大抵のアイデアはゼロから生まれるものではなく、

何かしらのきっかけが発端になることが多いと思います。


そのきっかけを、「サル真似」で終わらせるか、

独自の進化を織り込むかという部分が非常に重要で、

モノづくりにおいて、一番難しいところであると感じています。


サービスデザインも同じで、

「どこからインスピレーションを得るか」

ではなく、


「得たインスピレーションをアイデアとしてどう昇華させるか」


にとことん向き合う必要があります。


アイデアを昇華させるには、

それに向き合う覚悟と、それなりに精神的な余裕が必要なため、

「産みの苦しみ」と上手に付き合える資質こそが、

サービスデザイナーに必須なスキルであると改めて感じました。





■直感的を履き違えるな


Appleの製品を購入したことがある方は知っているかと思いますが、

ほとんどの製品には説明書らしいものが付属されていません。


「使い方を説明する必要が無いくらいにシンプルさを心がける」

ということは、サービスデザイナーが常に考えていることですが、

便利な機能が増えるたびに、説明的なデザインに陥りがちです。


ジョブズの映画の中では、

フォントをめぐって以下のようなやりとりがありました。


ユーザーが、どういう操作をしたらフォントが変えられるのか?
たどり着くまでのステップは?


このジョブズの問いに対して、

操作の説明をしながら、途中から苦い顔をするエンジニアが印象的でした。


「誰がやっても、フォントが自由にいつでも変えられる」

という直感的なユーザー体験を望んでいたジョブズに対して、

「アレをこうして、コレをああして…」

という、非常に回りくどい操作を自分で説明しながら、

ジョブズの言う「直感的」という言葉の意図に気づくシーンです。


この、「ユーザー体験に沿った直感的なデザイン」

というのは、明確な答えが出しにくく、

常にデザイナーが自分なりにユーザーの行動を思い描く必要があります。


しかし、「誰でも簡単に使えるように妄想する」ということは容易ではなく、

大抵のデザイナーの場合、どこかで主観的な思い込みや経験が邪魔をしてしまい、

第3者や、ユーザーの意見を軽視してしまうケースが少なからずあると思います。


しかし、ジョブズが持っていた、

「第3者的なユーザー目線」がすべてのデザイナーに必須なのではなく、


「第3者の意見に耳を傾け、受け入れることができる」


ということが、

多くのサービスデザイナーにとって必須な資質であると思います。





■限界を作ってはいけない


映画の中のジョブズはとにかく傲慢で、

「限界」という概念をまるで無視するかのように

周囲を振り回します。


結果として、一度Appleを追放されてしまうわけですが、

彼は最後までその意味に疑問を抱いているようでした。


当時、ペプシコーラのマーケティングをしていたスカリーを

AppleのCEOに誘うときには、以下のように口説いていました。


残りの人生を砂糖水を売ることに費やしたいか、
それとも世界を変えるチャンスが欲しいか?


誰もが無理だと思っている引き抜きに対しても、

ジョブズは口先だけで見事に引き抜くことに成功します。


彼が思う「限界」という概念は、

その確固たる自信からくるものだと観ていて感じましたが、

彼の言う「限界」とは非常にセンシティブで、

自らが作って良いものでは無いような気がしました。


サービス開発の現場では、

「なんとなくしっくりこないけど…」や

「ここがまだ気になってるけど、開発リソースが…」など

様々なクオリティに関する障壁があります。


そんな時に、

どうすればその「限界」を越えられるかという所に向き合い、

最後まで粘り続けられる精神力が重要になってくるかと思います。

根性論に聞こえるかもしれませんが、、、


「目に見える全てのアウトプットの責任はデザイナーにある」


というのが僕の信条であり、

ユーザーの目に触れる可能性が1%でもあるならば、

そこにはいかなる言い訳も効かないと思っています。


そういった、球際で粘れる精神力も、

サービスデザイナーにとっては重要な資質であると感じています。




ただの映画の備忘録だと思って書き始めましたが、

まとめてみると、なんだかジョブズ信者のような記事になってしまいました。


・「産みの苦しみ」と上手に付き合える資質

・「第3者の意見に耳を傾け、受け入れることができる」資質

・「球際で粘れる」資質


ただ、

世界一のモノづくりから学べることは非常に多く、

定期的に観て思い出したいなと思いました。

Sugar Design

渋谷で働くデザイナー

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